境内の榧(かや)の木は、「まがやの木」と呼ばれています。
本堂を正面にして、左側に太い幹を持ち堂々とした姿を見せる古木です。
木の高さは17,8m 枝下2,7m 樹齢はおよそ250年余年と云われています。この貴重な大樹も十数年前には、枝先の枯死が目立ち心配されましたが、近年の手当の甲斐もあって、今日の新緑が見られます。
開山以来、今日に至るまで周囲の人々、歴代の住職方の限りない愛情と長い伝統に支えられたものです。
この大樹の下で、昭和の初めまで漢学塾が開かれ、近隣の各地より向学の同志が集い、静かな境内で勉学を共にしたと云われます。
当時の農村の子弟にとって、ここは心休まる場所であったに違いありません。現在も、変わらぬ佇まいをしのばせてくれます。
昭和10年に千葉県の天然記念物の指定を受けています。
大正7年(1918) 当時、我孫子に住んでいた
作家「志賀直哉」の小説 「十一月三日午後の事」の作中に
「東源寺と云ふ榧の大木で名高い寺の近道の・・・・」という記述があります。語り手の《自分》が従弟と二人で、鴨を買いに行く途中で目撃した光景の描写です。
もしかしたら、この樹の下で、休まれたのかもしれません・・・・・・。